肛門内科と肛門外科、どっちに行けばいい?おしりの症状で迷ったら読むブログ
川崎駅前大腸と胃の消化器内視鏡・肛門外科クリニック(通称:カワナイ)です。
今回は、「世界一わかりやすい肛門の教科書 ⑫肛門内科と肛門外科、どっちに行けばいい?おしりの症状で迷ったら読むブログ」についてお話ししたいと思います。
「おしりが痛い…」「出血してるけど、何科に行けばいいの?」
おしりの症状が出たとき、インターネットで検索すると「肛門外科」「大腸肛門科」「肛門内科」など、様々な表記のクリニックが出てきて、どこを選んだら良いのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。全部同じなのかどうかも非常に分かりにくいと思います。
標榜科の自由度が高いために、医療従事者目線で見るとよくわからない「肛門内科」が出現したことで混乱を招いていると思います。
元々肛門の病気は、大腸肛門外科が見る領域でした。ですが、一部の内視鏡クリニックの内科の先生が「肛門内科」を標榜することを認められたことで今の現状があります。
今回は「肛門内科」と「肛門外科」の一般的な違いと、あなたの症状に合わせてどちらの専門医を受診すべきか、見分けるポイントをご紹介します。
「肛門内科」と「肛門外科」の基本的な違い
医療機関の名称は様々ですが、肛門の症状を診るクリニックは大きく分けて、薬での治療を中心に据えるのか、手術などの外科的治療まで含めて対応するのか、という点で提供できる医療の幅が異なります。
1.「肛門内科」という表現のクリニック
- 主なアプローチ: 主に薬物療法(飲み薬、座薬、軟膏など)や生活習慣の改善指導といった「保存的治療」のみになります。手術以外の治療で症状の改善を目指します。
- 対応症状の範囲: 比較的軽度の痔(いぼ痔、切れ痔)の初期段階、肛門の痒み(肛門搔痒症)、軽い炎症など、薬での治療が中心となる症状に対応します。
- 注意点: 実際に肛門診療を多く行っている施設で肛門診療を学んでいない医師が標榜して診療を行っている場合があります。肛門診療の経験がない、または経験数の少ない医師が多い傾向です。クリニックによっては、内痔核(いぼ痔)の重症度評価が困難であったり、痔瘻(じろう/あな痔)や進行したいぼ痔など、手術が必要と判断される疾患に対しては、別の肛門外科のある病院やクリニックに紹介されることになります。そのため、症状によってはなかなか改善しないことや複数回の受診や移動が必要になる場合があります。
2.「肛門外科」または「大腸肛門外科」という表現のクリニック
- 主なアプローチ: 薬物療法や生活指導に加えて、手術を含む外科的治療まで一貫して行うことができます。
- 対応症状の範囲: 進行したいぼ痔(脱肛を繰り返す、出血が多いなど)、慢性的な切れ痔、痔瘻、肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)、肛門ポリープなど、手術や専門的な処置が必要となる幅広い疾患に対応します。
- メリット:
- 治療の選択肢が豊富: 薬で治る症状から、日帰り手術が必要な症状まで、患者さんの状態に合わせた最適な治療法を提案できます。
- 一貫した治療: 診断から薬による治療、そして必要に応じて手術まで、同じ医師・クリニックで完結できるため、患者さんの負担が少なくて済みます。
- 経験豊富な専門医: 手術経験が豊富な医師が在籍していることが多く、複雑な症例にも対応できる専門性が期待できます。
- 設備が充実: 手術室や検査設備(肛門鏡、内視鏡など)が整っていることが一般的です。
結局、どっちに行けばいいの?判断のポイント
ほとんどの肛門の専門クリニックは「肛門外科」または「大腸肛門外科」と表記されており、内科的治療から外科的治療まで一貫して対応できる体制が整っていることが多いです。
しかし、お近くに肛門外科クリニックが無い場合は、ご自身の症状が「手術や専門的な処置が必要になる可能性があるか」という視点で考えてみると良いでしょう。
まず「肛門外科」または「大腸肛門外科」の受診がおすすめのケース
- 痛みや出血が激しい、治まらない:強い痛みや多量の出血は、何らかの処置が必要な場合があります。
- おしりから何か飛び出している(脱肛している):いぼ痔が脱肛している場合、手術や注射療法(ジオン注射/ALTA療法)が検討されます。
- おしりの周りが腫れて、ズキズキ痛む、発熱がある:肛門周囲膿瘍の可能性があり、切開して膿を出す緊急処置が必要となることがあります。
- おしりの周りから膿が出ている、下着が汚れる:痔瘻の可能性が高く、基本的に手術が必要な病気です。
- 症状が長く続いている、繰り返す:慢性化している症状は、薬だけでは治りにくい場合があります。
- 過去に痔の診断を受けたことがある:症状が悪化している可能性があります。
- 健康診断で「便潜血陽性」を指摘された:痔からの出血の場合もありますが、大腸がんやポリープの可能性もあるため、大腸内視鏡検査ができる施設が良いでしょう。
薬での治療が中心となる症状でも、最終的に「肛門外科」がおすすめです
上記以外、例えば軽い痒みや少量の出血、一時的な便秘といった症状でも、「肛門外科」または「大腸肛門外科」のクリニックを受診することをお勧めします。
なぜなら、たとえ薬での治療で済む症状であっても、最初から幅広い治療選択肢を持つ専門医に診てもらうことで、以下のメリットがあるからです。
- 的確な診断: 症状の原因が痔なのか、皮膚炎なのか、あるいはもっと別の病気なのかを正確に診断できます。
- 最適な治療の提案: 薬で治るのか、注射や手術が必要なのか、患者さんの状態に合わせた最適な治療法を最初から提案できます。漫然と軟膏治療が継続されるリスクがなくなります。
- 将来的な見通し: 症状がもし悪化した場合でも、同じ医師が継続して診てくれるため、治療方針の変更がスムーズです。
つまり、「肛門外科」や「大腸肛門外科」であれば、幅広い症状に対応できるため、まずはそこに相談するのが最も効率的で安心な選択と言えるでしょう。
ここまで、「肛門外科」のいいところばかり話していますが、「肛門内科」も軟膏の処方は可能です。軟膏治療で症状が落ち着いている方は「肛門内科」でも軟膏を処方してもらえますので相談してみてください。
「川崎駅前大腸と胃の消化器内視鏡・肛門外科クリニック」は、一貫した治療を提供します
当クリニックは「川崎駅前大腸と胃の消化器内視鏡・肛門外科クリニック」という名称の通り、肛門の症状に対して内科的治療から外科的治療(日帰り手術含む)まで一貫して対応できる体制を整えています。
- 薬物療法や生活指導といった保存的治療はもちろんのこと、
- 注射療法(ジオン注射/ALTA療法)や痔核切除、痔瘻根治術など、幅広い日帰り手術も行っています。
- また、おしりの出血が気になる場合は、大腸内視鏡検査で大腸全体の確認も可能です。
つまり、どの程度の症状であっても、まずご来院いただければ、症状を診て適切な診断を行い、患者さんに合った最適な治療法をご提案できるということです。
「内科と外科、どっちに行けばいいんだろう…?」と迷う必要はありません。まずはお気軽にご相談ください。
最後に:迷ったらまず専門医へ
おしりの悩みは、デリケートなだけに受診をためらってしまいがちです。しかし、早期に受診することで、薬で治るうちに治療できたり、重篤な病気を早期に発見できたりするメリットがあります。
不安な気持ちを抱え込まず、私たち肛門の専門医にご相談ください。患者さんのプライバシーに配慮し、安心してご相談いただける環境を整えてお待ちしております。
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