突然のおしりの痒み!クリニックに行く前に試したい優しいセルフケア - 特発性肛門搔痒症の可能性も-
川崎駅前大腸と胃の消化器内視鏡・肛門外科クリニック(カワナイ)です。
世界一わかりやすい肛門の教科書の第8弾は前回に引き続き、おしりの痒みについてです。
「あれ?なんだかおしりがムズムズ…」
誰にでも起こりうる、突然の肛門の痒み。人に相談しづらく、どう対処したら良いか迷ってしまう方もいるのではないでしょうか。
今回は、おしりの痒みが出た際に、ご自身でできる応急的なセルフケアについて解説します。
特に、一番頻度の多い「特発性(とくはつせい)肛門搔痒症」の可能性についても触れながら、痒みを和らげるためのヒントをお伝えします。
まずは落ち着いて!状況を確認しましょう
おしりに痒みが出ると、すぐに何か病気ではないかと心配になるかもしれません。しかし、多くの場合、ちょっとした刺激や生活習慣の変化が原因で一時的に起こっていることが多いです。
まずは落ち着いて、ご自身の状況を確認しましょう。
- どんな時に痒みが出やすいか? (排便後、入浴後、寝る前など)
- 他に症状はないか? (痛み、腫れ、出血、できものなど)
- 最近、何か生活習慣が変わったことはないか? (新しい下着、洗剤、食べ物など)
これらの情報を把握しておくことは、セルフケアを試す上でも大切ですし、クリニックを受診した際の診察時にも役立ちます。
クリニックに行く前に試せる優しいセルフケア
強い痒みは大変つらいです。ここでは、クリニックを受診する前にご自身で試せる、おしりに優しいセルフケアをご紹介します。
1.清潔にする - でも「洗いすぎ」に注意!
清潔に保つことは大切ですが、過度な洗浄は逆効果になることがあります。
- 排便後は優しく拭く: トイレットペーパーでゴシゴシと強く拭くのは避け、優しく押し当てるようにしましょう。
- 温水洗浄便座は短時間・弱水圧で: ウォッシュレットを使う場合は、水圧を弱めに設定し、短時間で済ませましょう。使用後は、ポンポンと軽くたたくように水分を優しく拭き取るか、ドライヤーの弱冷風で乾かすと良いでしょう。
- 石鹸は刺激の少ないものを: 肛門周囲は、お湯で洗い流す程度で十分です。石鹸を使う場合は、低刺激性のものを選び、使いすぎに注意しましょう。消毒はいりません。
2.冷やす
痒みが強い場合は、冷やすことで一時的に感覚が鈍くなり、楽になることがあります。
- 冷たいタオルやガーゼ: 清潔なタオルやガーゼを水で濡らし、軽く絞ってから患部に優しく当てましょう。
- 市販の冷却シート: 冷却成分がマイルドなものを選び、肌に直接貼らず、下着の上から当てるなどして刺激を避けてください。
3.保湿する
乾燥は痒みを悪化させる原因の一つになります。
- 刺激の少ない保湿剤: 入浴後や洗浄後など、皮膚が乾燥しやすいタイミングで、ワセリンやベビーオイルなど、刺激の少ない保湿剤を薄く塗るのも効果的です。
4.下着を見直す
直接肌に触れる下着は、痒みに大きく影響します。
- 綿素材を選ぶ: 吸湿性・通気性の良い綿素材の下着を選びましょう。
- 締め付けの少ないものを選ぶ: ゆったりとした、締め付けの少ない下着を選び、皮膚への摩擦を減らしましょう。
- 清潔な下着を身につける: 汗をかいたり、湿ったりしたら、こまめに取り替えましょう。
5.生活習慣を振り返る
日常生活のちょっとしたことが痒みの原因になっていることもあります。
- 刺激物を控える: 香辛料の強い食べ物、アルコール、カフェインなどは、痒みを悪化させる可能性があります。摂取を控えて様子を見てみましょう。
- 十分な睡眠と休息: 疲労やストレスは、皮膚のバリア機能を低下させることがあります。しっかりと睡眠と休息をとり、心身をリラックスさせましょう。
- 掻かない!: これが一番大切です。掻くことで皮膚が傷つき、炎症が悪化し、さらに痒くなるという悪循環に陥ってしまいます。どうしても我慢できない場合は、叩いたり、優しく押さえるようにしましょう。
もしかして「特発性肛門搔痒症」?
様々なセルフケアを試してもなかなか改善しない、または繰り返すおしりの痒みの場合、「特発性肛門搔痒症」や「肛門の病気が潜んでいる」可能性があります。
特発性肛門搔痒症は、原因となる特定の病気や異常が見つからないにもかかわらず、慢性的に肛門周辺に痒みが生じる状態です。過剰な清潔習慣、下着の摩擦、汗やムレ、ストレスなどが複合的に関与していると考えられています。
特発性肛門搔痒症や肛門疾患が潜んでいる場合、自己流のケアだけでは改善が難しいこともあります。
こんな時は早めに医療機関を受診しましょう
セルフケアを試しても症状が改善しない場合や、以下のような症状が見られる場合は、自己判断せずに早めに医療機関を受診しましょう。
- 痒みが強くて我慢できない
- 痒みが悪化している
- 出血がある
- 痛みがある
- 腫れがある
- 分泌物がある
- 発疹やただれが広がっている
- できものやイボのようなものがある
川崎駅前大腸と胃の消化器内視鏡・肛門外科クリニック(通称:カワナイ)では、肛門専門医が丁寧な問診と診察を行い、痒みの原因を特定し、適切な治療をご提案いたします。
クリニック受診した場合の治療
今出ているかゆみ症状の治療には、主に軟膏を使った治療を行いますが、内服薬を使用することもあります。
軽症であれば、白色ワセリンやジメチルイソプロピルアズレンなどの塗り薬が使用され、重症の場合はステロイドの塗り薬が検討されます。
同時に原因となる病気の治療を進めていきます。
最後に
おしりの痒みは、誰にでも起こりうる身近な悩みです。まずはご紹介したセルフケアを試しつつ、症状が改善しない場合は、遠慮なく川崎駅前大腸と胃の消化器内視鏡・肛門外科クリニック(通称:カワナイ)にご相談ください。
デリケートな悩みだからこそ、専門医にご相談いただくことで、安心して日常生活を送れるようサポートさせていただきます。
【ご予約はこちらから】
【アクセス情報はこちら】
〒210-0006 神奈川県川崎市川崎区砂子2-4-17
【共に働く仲間(スタッフ)も募集しています。】https://www.kawasaki-naishikyo-recruit.com/