【いぼ痔治療】ジオン注射(ALTA療法)「だけ」を行うクリニックの危険性とは?デメリットについて
従来は手術でしか治すことができなかったいぼ痔を、注射だけで治すことが可能になりました。
注射だけですから日帰りで安心して受けることができますし、切開にともなう痛みもありません。
いぼ痔でお悩みになっている方にとって、待ち望んでいた治療法がジオン注射=ALTA療法(アルタ療法)です。
しかし、一方で、適応を見誤ったり、投与法が十分でないと、再発や重大な合併症が引き起こされます。
そこで今回は、メリットだけでなく、デメリットや、学会等で現在言われていることについてお話ししたいと思います。
【要点は3つです】
① 切除の手術なども含めた手術方法から最適な治療法を選択した方が良い。
② ジオン注射の適応かしっかりとした診断が可能で、豊富な治療経験のある施設での治療が良い。
③ 麻酔をしっかりとかけた治療や出血などの合併症に縫合などの外科的処置で対応できる施設での治療が良い。
目次
1.多くのクリニックで採用される画期的な治療法「ジオン注射」
いぼ痔(内痔核)の治療法として、「切らずに治せる」というメリットで広く知られるようになったのが、ジオン注射(ALTA療法:硫酸アルミニウム・タンニン酸注射液)です。
ジオン注射は、いぼ痔に薬剤を注入し、痔を硬化・縮小させる画期的な治療法です。適切に行えば、痛みや出血が少なく、日帰りで治療できるため、患者様にとって非常に負担の少ない選択肢です。
しかし、近年、このジオン注射を「専門」として謳い、「注射だけ」の治療に偏っているクリニックや、肛門疾患の専門性が低い消化器内科で治療を受けることの危険性が指摘されています。
2.なぜ「ジオン注射のみ」の治療は危険なのか?
いぼ痔の治療は、単に「いぼ」を小さくすれば終わりではありません。痔は生活習慣病であり、複数の疾患が合併していることが多いため、ジオン注射だけで完結させると、以下のようなリスクや問題が生じます。
(1) 誤診や診断の見落としのリスク
内痔核の重症度の評価や痔瘻や裂肛などの鑑別診断には、肛門専門施設で勤務や研修を行う肛門診療の十分な経験が必要になります。
ジオン注射は、内痔核の中の4か所に分けて注射液を打ち込む技術と注入量を患者様ごとに調整する的確な判断が必要になります。
簡単なようで非常に高度な治療になります。合併症を恐れて的確な位置に注入されていなかったり、投与量が少ないと、合併症は生じにくいですが、再発率が上がります。
かといって、量を多く打てばいいというわけではなく、多く打つことで潰瘍を引き起こしたり、直腸に穴が開くこともあります。
また、内痔核以外の疾患であったり、外痔核を併発している場合はジオン治療の適応外になります。
肛門疾患の総合的な鑑別診断の経験が必要不可欠になります。
前立腺癌等の放射線治療後の患者様には行ってはいけない治療ではありますが、経験の少ない施設で治療が施行され、難治性直腸潰瘍として相談にいらっしゃった患者様もいらっしゃいました。(その後、当院で治療を行い改善されました)
(2) 痔核の再発・悪化のリスク
痔には、いぼ痔(内痔核・外痔核)、切れ痔(裂肛)、痔ろう(あな痔)の3種類があり、多くの患者様がこれらを合併しています。
- ジオン注射は内痔核にしか効きません。 切れ痔や痔ろう、あるいは外痔核の治療には手術や別の治療法が必要です。
- 注射のみで内痔核を治療しても、合併している切れ痔や痔ろうが残ることで、根本的な痛みが解消されない、または再発するリスクが非常に高くなります。
- ジオン注射のみの治療は、切除を伴う治療に比べて、そもそもの再発率が高い治療になります(約20%)。さらに適切に投与を行わないと、再発率はさらに上がります。
(3) 重大な合併症・副作用のリスク
ジオン注射は簡単そうに見えて高度な技術を要する治療です。肛門外科医として経験すればするほどその難しさが分かります。
血管が集中するデリケートな部位に薬剤を注入するため、深さや量の判断を誤ると、以下のような重篤な合併症を引き起こす可能性があります。
- 血栓症・塞栓症: 誤って血管に薬剤が入り、体内の他の部位で血栓を作り、重篤な合併症を引き起こす危険性。
- 肛門狭窄: 薬剤の注入量が多すぎたり、広範囲に注入したりすることで、肛門が過度に硬化し、便が出にくくなる「肛門狭窄」を引き起こすリスク。
- 直腸潰瘍:正常な直腸粘膜に注入した場合、難治性の直腸潰瘍が生じることがあります。
- 術後疼痛:本来は適応外の外痔核を伴う患者様に注入を行ってしまい、術後に外痔核が腫れてしまうことがあります。その場合強い痛みを伴います。
3.消化器内科医のクリニックでジオン注射を受ける場合の注意点
「消化器内科」は主に食道、胃、小腸、大腸といった消化管全体を専門とする内科です。
内視鏡検査の技術は高いことが多いですが、肛門の解剖学的知識や外科的な手技、痔の診断と治療の経験においては、「肛門外科」を標榜する専門医に比べて圧倒的に少ないのが現実です。
肛門外科医は、ジオン注射だけでなく、手術(結紮切除術など)、切れ痔の薬物療法、痔ろうの根治手術といった全ての治療オプションを習得しています。
患者様の症状と痔の種類に応じて、「注射で治すか」「手術で治すか」「薬で治すか」を総合的に判断できます。
注射だけといっても、内痔核という血管に針を刺すため、術中に血が止まりにくいことや、術後に出血を来すことがあります。そのため、止血処置(縫合)がしっかりと出来る施設や緊急対応が可能な施設で治療を受けることをお勧めいたします。
また、麻酔をしっかりとかけて治療を行ってくれる施設を勧めます。鎮静剤などを使用して肛門の力が抜けた状態でなければ、正しい評価や正しい治療は施行できないためです。
4.失敗しないクリニック選びのポイント【川崎の皆様へ】
痔の治療を検討されている、以下の点を必ず確認してください。
- 肛門外科の専門医が在籍しているか: 日本大腸肛門病学会の専門医など、公式な資格を持つ医師が診察・治療を行うクリニックを選びましょう。
- 治療の選択肢が豊富か: 注射(ジオン)、手術、薬物療法など、あらゆる治療法を提示し、患者様の希望や症状に合わせて選べるクリニックであるかを確認しましょう。手術件数がなるべく多い施設で行うことをお勧めします。(目安:月間80件以上)
- 大腸内視鏡検査の体制があるか: 肛門からの出血を「痔」と断定する前に、大腸がんなどの重篤な病気を除外できる検査体制が整っていることが重要です。
5.当クリニックは「総合的な肛門専門医療」を提供します
当内視鏡肛門クリニックは、ジオン注射を有効な治療法の一つとして採用していますが、ジオン注射だけを推奨することはありません。
私たちは、内視鏡専門医・肛門専門医として、まず精密な検査を行い、痔の種類、重症度、合併症の有無を正確に診断します。
その上で、ジオン注射、日帰り手術、生活習慣指導など、患者様の状態に合わせた最適な治療計画を提案し、再発を防ぐ総合的な治療に努めています。
実際当院では、ジオン単独療法よりも、ジオン併用療法(一部切除+ジオン注射)を多く施行しています。
脱出症状が強い方や外痔核がある患者様が多いからです。一部切除を行うことで再発率がグンと下がります。
切除する範囲が一部のため、術後の疼痛も自制内にとどめることが出来、日帰り手術を可能にしています。
ジオン注射のみですと短期的にはよいですが、1年以内に再発される方も多数報告されています。(学会報告)
当院では、せっかく受ける手術ですので、安全性と根治性の両立を期待できる治療を提供したいと考えています。
デリケートな肛門の悩みだからこそ、注射も手術も対応できる肛門外科専門医にご相談ください。
川崎駅からもアクセスしやすい当クリニックが、あなたの健康と安心をサポートします。
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川崎駅からすぐのため、現在、蒲田、武蔵小杉方面からも多数患者様がいらっしゃっております。
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