いぼ痔(内痔核)があっても手術が必要になる人は実は少ない!?|専門医が解説
川崎駅前大腸と胃の消化器内視鏡・肛門外科クリニック(通称:カワナイ)です。
「肛門外科に行ったらすぐ手術されちゃうんじゃないか」
不安ですよね。
当院は現在月間100件以上日帰り肛門手術を行っており、日々痔でお悩みの患者さんが来院されます。
でも、実際に手術になる人はほんの一握りです。
いぼ痔の患者さんのどれくらいが手術になるのか。気になりますよね。
それでは、実際にどれくらいの方が手術になるのかをお伝えしたいと思います。
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目次
1. いぼ痔(内痔核)とは?
内痔核(いぼ痔)は、肛門の内側にある血管・結合組織のクッション部分がうっ血・膨張して“いぼ”のように見える病態です。
痛みを伴わずに出血だけ起きることも多く、症状が軽ければ薬や生活習慣の改善で十分に対処できます。
2. 保存療法が基本の理由
多くの専門ガイドライン・レビューで、内痔核の第一選択治療は“保存療法(手術を伴わない治療)”とされています〈脚注①〉。
保存療法を優先する理由として、以下の理由が挙げられます。
①手術に伴う痛み・合併症リスクがある
②軽・中等度の症例では保存療法で十分な効果を発揮する
③患者さんの負担が少ない点
などが挙げられます。
3. 手術を受ける人の割合:研究データから
実際に、手術に至る人の割合はそれほど高くありません。 例えば、あるレビュー論文では「症状のある痔疾患のうち手術を要するのはおおよそ10〜20%」と報告されています〈脚注②〉。 また、最新の研究では、I〜II度の内痔核に対して保存療法で70〜80%改善したというデータもあります〈脚注③〉。
図1:いぼ痔患者における手術適応率(研究データより)
| 研究・レビュー | 票本となるデータ | 手術まで至る割合 |
|---|---|---|
| Song SG et al. 2011〈脚注②〉 | 症状を伴う痔患者対象 | 約10〜20% |
| L Quan et al. 2025〈脚注③〉 | I–II度内痔核 保存療法群 | 70〜80%が手術不要 |
4. 手術が必要なケース
では、どのような症例が手術を検討すべきかを整理します。
- 脱出・嵌頓(肛門外に出たまま戻らない)を繰り返す
- 大量の出血で貧血を伴っている
- 保存療法・注射療法を行っても再発を繰り返す
- 血栓・強い痛み・合併症(痔瘻など)がある
これらの条件に該当する場合は専門医による手術適応の検討が必要です。
5. 日常生活でできる保存療法
手術を回避あるいは遅らせるためには、まず生活習慣の見直しが有効です。以下はそのポイントです:
| 対策項目 | 具体的内容 |
|---|---|
| 便通を整える | 食物繊維・十分な水分・適度な運動 |
| 長時間の座位を避ける | こまめに立ち上がる・ストレッチを入れる |
| 排便時のいきみを避ける | 「座ってすぐ出す」習慣をつける |
| 肛門ケア | 優しく拭く/刺激性の強いペーパー・過度な洗浄を控える |
6. 当クリニックでの対応
- 専門医による診察・症状の重症度評価します。
- まず保存療法(生活指導・薬物療法)を提案します。
- 保存療法で改善困難なケースには、注射治療・日帰り手術も対応
- 女性医師・女性スタッフ在籍/プライバシー配慮/土日診療対応
7. まとめ
いぼ痔があるからといって即手術、というわけではありません。
多くの方は保存療法で改善・コントロール可能であり、手術に至るのは少数例(10〜20%前後)です。症状が落ち着いている間は、生活習慣を整えてまず保存療法を継続しましょう。 侵襲を伴う処置を検討すべきかは、脱出・出血・再発の状況を専門医に相談して判断してください。
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脚注
Kang SI et al. “Latest Research Trends on the Management of Hemorrhoids.” Curr Probl Surg. 2025. PMID PMC‑12035339.〈脚注①〉 PMC
Song SG et al. “Optimal Treatment of Symptomatic Hemorrhoids.” J Korean Surg Soc. 2011; 27(6):277‑288.〈脚注②〉 coloproctol.org
L Quan et al. “Surgical vs Conservative Hemorrhoid Treatments: Meta‑Analysis.” BMC Gastroenterol. 2025.〈脚注③〉 BioMed Central