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大腸がんは遺伝する?~家族にがんがいる人のリスクと、子供への確率、検査のタイミングを専門医が解説~

「親が大腸がんになったので、自分もいつかがんになるのではないか」「子供に遺伝してしまったらどうしよう」と、ご家族の病歴をきっかけに不安を抱えて来院される方は少なくありません。

結論から申し上げますと、すべての大腸がんが遺伝するわけではありません。しかし、血縁者に大腸がんの方がいる場合、そうでない方に比べて発症リスクが高くなることは医学的に証明されています。

本記事では、大腸がんと遺伝の正しい関係性や、子供への遺伝確率、そして家族歴がある方が「いつ、どのような検査を受けるべきか」について、川崎駅前大腸と胃の消化器内視鏡・肛門外科クリニック院長が専門医の視点から詳しく解説します。

大腸がんが遺伝する確率は?「家族性」と「遺伝性」の違い

一口に「家系にがんが多い」と言っても、実はそこには2つのパターンがあります。

遺伝性大腸がん(約5%)

特定の特定の遺伝子変異が親から子へ受け継がれることで発症するものです。これらは「リンチ症候群」や「家族性大腸腺腫症(FAP)」と呼ばれ、全大腸がんの約5%を占めます。もし親がこれらの遺伝子変異を持っている場合、子供に遺伝する確率は50%(2分の1)です。若いうちに発症しやすいという特徴があります。

家族性大腸がん(約20〜30%)

「遺伝子の影響」と「共有している生活習慣」の両方が組み合わさって発症するケースです。例えば、家族で同じような食生活(高脂質、低繊維など)を続けていたり、喫煙・飲酒習慣が似ていたりすることで、家族内にがん患者が重なることがあります。 統計的に、第1度近親者(親・兄弟姉妹・子供)に大腸がんの方が1人いる場合、本人のリスクは2〜3倍になると言われています。

残り約70%は「散発性大腸がん」と呼ばれ、遺伝とは無関係に加齢や環境要因で発症するものです。つまり、「家族にがんがいる=必ずがんになる」わけではありませんが、リスクを正しく把握しておくことは非常に重要です。

特に注意が必要な「遺伝性疾患」の特徴

「子供への確率」を心配される方にとって、特に知っておくべき2つの疾患があります。

リンチ症候群

大腸がんだけでなく、子宮体がんや胃がんなど、全身に様々ながんが発生しやすい体質です。一般的な大腸がんは60〜70代での発症が多いですが、リンチ症候群の場合は40代など若年で発症することが珍しくありません。

家族性大腸腺腫症(FAP)

大腸に数百から数千個ものポリープ(腺腫)ができる疾患です。放置すると、ほぼ100%の確率で大腸がんに進行します。そのため、診断がついた場合は適切な時期に予防的な手術を検討することもあります。

これらは遺伝カウンセリングや専門的な遺伝子検査が必要になるケースもあります。ご不安な場合は、まずは当院のような消化器専門クリニックへご相談ください。

家族にがんがいる人は「いつから」検査を受けるべきか?

「自分はまだ若いから大丈夫」と考えるのは禁物です。家族歴がある方の検査開始時期については、以下の目安が推奨されています。

血縁者に大腸がんの方がいる場合

40歳を目安に一度、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けましょう。

若くして発症した家族がいる場合

その家族が発症した年齢よりも「10歳若い年齢」から検査を開始することが望ましいとされています(例:兄が45歳で発症した場合、自分は35歳から受ける)。

大腸がんは早期に発見すれば、高い確率で完治が望める病気です。自覚症状が出てからでは進行しているケースが多いため、症状がないうちに検査を受けることが「命を守る習慣」となります。

大腸がんは「予防」ができる唯一のがんです

遺伝という事実は変えることができません。しかし、大腸がんには他の部位のがんにはない大きな特徴があります。それは、「ポリープのうちに切除すれば、がんを未然に防げる」という点です。

大腸がんの多くは、まず良性のポリープ(腺腫)ができ、それが数年かけて大きく、がん化していくというプロセスを辿ります。つまり、定期的な内視鏡検査で「がんの芽」であるポリープを見つけ、その場で切除してしまえば、大腸がんになるリスクを劇的に下げることができるのです。

遺伝的なリスクが高い方こそ、この「予防」のメリットを最大限に享受すべきだと言えます。

当院の大腸内視鏡検査:苦痛を抑え、その場で切除まで

「検査が怖い」「以前受けた時に痛かった」という理由で、家族歴があるのに検査を遠ざけてしまうのは非常に勿体ないことです。

川崎駅前大腸と胃の消化器内視鏡・肛門外科クリニックでは、患者様が安心して検査を受けられるよう、以下の体制を整えています。

  • 鎮静剤を使用した無痛に近い検査: 眠っているような状態で、リラックスして検査を受けていただけます。
  • 炭酸ガス(CO2)の使用: 検査後のお腹の張りを抑えるため、空気より200倍吸収が早い炭酸ガスを導入しています。
  • 日帰りポリープ切除: 検査中にポリープが見つかった場合、その場で切除が可能です(※大きさや形状により、入院が必要な高度なケースは連携病院をご紹介します)。
  • 土日診療・川崎駅徒歩1分: 忙しい働き世代の方でも、ご家族のために健康管理ができる環境を提供しています。

不安を安心に変えるために

「遺伝」という言葉に不安を感じるのは、ご家族を大切に思っている証拠でもあります。その不安を解消する一番の方法は、専門医による正確な診断と、定期的なメンテナンスを受けることです。

当院では、患者様お一人おひとりの家族歴や生活習慣を伺った上で、最適な検査スケジュールをご提案いたします。まずは「家族にがんがいるので心配です」という一言からで構いません。お気軽にWEBまたはお電話でご相談ください。


出典:日本大腸肛門病学会「市民の皆様へ:大腸がんと遺伝」

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