【専門医解説】「ニンニク食べると下痢になる」のはなぜ？原因と3つの対処法
焼肉やラーメン、パスタなど、多くの料理で活躍するニンニク。
食欲をそそる香りとパンチの効いた味は魅力的ですが、「ニンニクを食べた後、決まってお腹が張ったり、下痢になったりする…」というお悩みをお持ちの方も少なくありません。
この現象には、ニンニクに含まれる特定の成分と、私たちの消化器官の働きが深く関わっています。
今回は、川崎駅前大腸と胃の消化器内視鏡・肛門外科クリニック（通称：カワナイ）が、消化器専門医の視点から、ニンニクが下痢を引き起こす原因と、美味しく食べるための対処法を分かりやすく解説します。
しっかりと対処をして、ニンニクライフを楽しみましょう！
目次
１．なぜニンニクを食べると下痢になりやすいのか？
(1) FODMAP（フォドマップ）成分の多さ
ニンニクは、「FODMAP（Fermentable Oligosaccharides, Disaccharides, Monosaccharides and Polyols）」と呼ばれる特定の糖質群を多く含んでいます。
- Fermentable（発酵性の）
- Oligosaccharides（オリゴ糖）← ニンニクはこれに分類されます
- Disaccharides（二糖類）
- Monosaccharides（単糖類）
- And（と）
- Polyols（ポリオール）
これらの糖質は、小腸で吸収されにくく、大腸に届きます。大腸内で腸内細菌によって急速に発酵される際、大量のガスが発生します。このガスが腹部の膨満感や痛みを引き起こします。
さらに、FODMAPは浸透圧が高いため、腸内に水分を引き込みます。その結果、便がゆるくなり、下痢を引き起こしやすくなるのです。
(2) 刺激の強い「アリシン」成分
ニンニクの独特な香りや辛味のもとである「アリシン」という成分は、強力な抗菌作用を持つ一方で、胃や腸の粘膜に対して強い刺激を与えます。
特に生のニンニクを大量に摂取すると、腸の蠕動運動が過剰に活発化し、食物を急速に排出させようとすることで、下痢に繋がることがあります。
２．下痢を防ぐ！ニンニクを美味しく食べるための３つの対処法
ニンニク好きの方のために、下痢のリスクを減らしながら楽しむための具体的な対処法をご紹介します。
① 生よりも「加熱」調理を選ぶ
アリシンなどの刺激成分は、加熱によって性質が変化し、刺激がマイルドになります。
- 生のニンニク（おろしなど）の量を減らし、揚げたり、炒めたり、長時間煮込んだりしたニンニクを選ぶと、下痢のリスクを減らせます。
- ただし、FODMAP成分（オリゴ糖）は加熱しても残るため、摂りすぎには注意が必要です。
② ニンニクそのものでなく「オイル」を活用する
ニンニクのFODMAP成分であるオリゴ糖は、水溶性で、油には溶けにくい性質があります。
- ニンニクの風味だけを楽しみたい場合は、ニンニクを油に漬け込んで作られた「ガーリックオイル」（ニンニクそのものは取り除く）を使用すると、FODMAPの摂取量を抑えつつ風味を楽しめます。
③ 摂取量を「少量」に抑える
ニンニクによる不調は、摂取量に比例して起こりやすいです。
- 自身の体質に合わせて、「これ以上食べると下痢になる」という限界量を見極め、少量に留めましょう。
- 特に体調が優れない日や、もともと過敏性腸症候群（IBS）の傾向がある方は、控えめにするのが賢明です。
３．もし下痢が続くなら…過敏性腸症候群の可能性も
「ニンニクだけでなく、特定の食品を食べるといつもお腹の調子が悪い」「ストレスや緊張で下痢になりやすい」という方は、過敏性腸症候群（IBS）の可能性があります。
IBSの方は、一般的にFODMAP成分を多く含む食品に対して非常に敏感に反応し、下痢や便秘、腹痛などの症状が出やすいことが知られています。
IBSは生活の質を大きく低下させますが、適切な診断と食事指導（低FODMAP食など）、薬物療法で改善が期待できます。
４．川崎で消化器の不調にお悩みなら、専門医にご相談ください
「ニンニクを食べると下痢になるのは体質だから…」と諦めていませんか？
便通の異常は、単なる食習慣の問題だけでなく、より複雑な消化器系の問題が隠れている場合があります。
当クリニックは、内視鏡専門医が在籍しており、胃腸の不調や下痢・便秘といった排便の悩みについて、専門的なアプローチで診断・治療を行います。
ニンニクと下痢の関係など、普段の食生活や気になる症状について、お気軽にご相談ください。皆様の快適な食生活と健康をサポートいたします。
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