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便失禁 FAECAL-INCONTINENCE

便失禁とは

便失禁とは、自分の意思に反して便が漏れてしまう状態を指します。排便をコントロールする機能がうまく働かなくなることで起こり、加齢による筋力低下や神経障害、手術後の影響など、さまざまな原因が関係しています。程度は、下着が汚れる程度の軽いものから、排便全体を制御できない重いものまで様々です。

便失禁は複数の要因が関与して起こることが多く、主な原因として以下が挙げられます。

これらが単独、または複合的に関係して便失禁が発生します。

診断では、まず問診で症状の経過や排便の状態を詳しく伺います。便の性状や漏れの頻度を記録する「排便日誌」をつけていただくこともあります。
その上で、肛門周囲の視診・触診を行い、必要に応じて以下のような検査を行います。

大腸や直腸の病変の有無を確認します

肛門括約筋の収縮力を測定します

肛門周囲の筋肉や組織の損傷を評価します

これらの結果を総合的に判断し、原因に応じた治療法（骨盤底筋訓練・薬物療法・手術など）を検討します。

便失禁の治療は、原因や症状の程度に応じて行われます。多くの場合、生活習慣の改善や筋力トレーニングなどの保存的治療から始め、必要に応じて薬物療法や手術を検討します。

便の硬さや排便リズムを整えることは、便失禁の改善に重要です。
野菜・果物・豆類・穀物などの食物繊維をしっかり摂取し、水分も十分に取るようにしましょう。整腸作用のあるヨーグルトや発酵食品も有効です。

便秘や下痢は便失禁を悪化させる大きな要因です。原因を見極めたうえで、下剤や整腸剤の調整、食事内容の見直しなどを行います。医師の指導のもと、腸内環境を整えることが大切です。

排便をコントロールする筋肉を鍛えるために、骨盤底筋のエクササイズ（いわゆる“肛門締め運動”）を行います。理学療法士や医師の指導のもと、正しい方法で継続することで、徐々に改善が期待できます。

症状に応じて、下痢を抑える薬や腸の動きを調整する薬などを使用します。薬の選択や用量は症状や体調によって異なるため、医師の指示に従いながら適切に使用することが重要です。

便失禁は何科を受診すればよいですか？

便漏れ・便失禁の症状がある場合は、肛門科または消化器内科を受診してください。
当院では肛門科・消化器内科の両方に対応しており、肛門科の受診であることを周囲に知られずに相談が可能です。必要に応じて大腸カメラ検査にも対応しています。

便失禁の予防や日常での対策はありますか？

便意を感じたら我慢せず、早めにトイレに行く習慣をつけましょう。
また、吸収性の高い下着やパッドを使用することで、万が一の際の不安を軽減できます。
便失禁の原因や程度は人それぞれです。気になる症状がある場合は、早めに医師に相談し、適切な治療やサポートを受けることが大切です。