肛門にできもの 痔以外の可能性

肛門にできもの 痔以外の可能性 MASS

肛門周囲に腫れやしこりができた場合

肛門周囲に腫れやしこりができた場合

肛門やその周囲に「しこり」「できもの」ができると、「何科を受診すればよいのか」「様子を見ていいのか」と迷われる方が多いと思います。
場所が場所だけに、恥ずかしさから受診をためらう方も少なくありません。
しかし、「痛みがないから」「そのうち治るだろう」と放置すると、症状が悪化し、治療が長引くことがあります。

市販の痔の薬で対応してしまい、かえって病気を進行させてしまうケースも見られます。
肛門やその周囲に違和感・しこり・腫れを感じた場合は、自己判断せず、肛門科・大腸肛門外科を早めに受診することをおすすめします。

「肛門周囲のしこり」=痔とは限らない

肛門周囲にできものができる原因の中には、痔以外の病気もあります。

代表的なものの一つが、肛門周囲膿瘍です。

肛門周囲膿瘍とは

肛門の周囲に膿(うみ)がたまる感染性の病気で、肛門の小さな傷やひび割れから細菌が入り込むことで発生します。

症状としては、

  • 肛門周囲の腫れや赤み
  • 強い痛み
  • 発熱
  • 膿が出る(排膿)

などが見られます。

自然に治ることはほとんどなく、放置すると膿がたまった部分が肛門の中とつながり、トンネル状の管を形成してしまうことがあります。
この状態を痔ろう(穴痔)といい、長期間放置するとがん化のリスクが高くなることもあります。

治療と早期受診の重要性

治療では、膿を出すために切開・排膿(ドレナージ)を行うことが一般的です。
感染の拡大を防ぐために、抗生物質の投与や創部のケアを併用する場合もあります。
肛門周囲膿瘍は自己判断で治すことができる病気ではありません。
放置すると再発や痔ろう化のリスクが高まりますので、肛門科専門医による診察と適切な処置を受けることが大切です。

肛門周囲に「できもの」ができるときに考えられる病気と対処法

肛門周囲に「できもの」ができるときに考えられる病気と対処法

肛門のまわりに「しこり」や「できもの」ができると、まず“痔かな?”と考える方が多いですが、実際には痔以外の病気が原因であることもあります。ここでは、肛門周囲にできる代表的な疾患とその対処法についてご紹介します。

肛門小窩炎・肛門周囲炎

便秘や下痢、強い拭き取り刺激などにより、肛門周囲に炎症が起こることがあります。しこりやできものができることは稀ですが、痛みやかゆみを伴う場合があります。

対処法

患部を清潔に保ち、細菌や真菌(カビ)の繁殖を防ぐことが大切です。症状に応じて抗生物質やステロイド軟膏が処方される場合もあります。

膿皮症(のうひしょう)

黄色ブドウ球菌や大腸菌の感染によって膿がたまる皮膚の感染症です。肛門周囲だけでなく、臀部(おしり)・首・わきの下などにも発生することがあります。患部には赤み・腫れ・痛みが見られます。

対処法

患部を温かい塩水などで清潔に洗浄し、抗生物質の内服または外用薬を使用します。膿が多い場合は、医師による切開排膿が必要になることもあります。

大腸がん

肛門周囲の「できもの」が、痔や炎症ではなく大腸がんであることもあります。大腸がんは大腸粘膜に発生する悪性腫瘍で、放置した痔ろうや膿瘍からがん化することもあります。

対処法

病期や進行度に応じて、手術・化学療法(抗がん剤)・放射線治療などを組み合わせて行います。早期発見が非常に重要ですので、長期間症状が続く場合は速やかに医療機関を受診しましょう。

皮垂(ひすい)

外痔核(外側の痔)がしぼんだあとにできる皮膚のたるみです。やわらかい小さな突起として残ることが多く、痛みや健康への悪影響はほとんどありません。

対処法

清潔を保つことで特別な治療を必要としないことが多いですが、見た目が気になる場合には日帰りでの切除が可能です。

脂肪腫

皮下脂肪組織から発生する良性腫瘍です。やわらかく、痛みが少ないのが特徴です。多くは無害ですが、徐々に大きくなる場合があります。

対処法

小さいうちは経過観察で問題ありませんが、サイズが大きくなったり日常生活に支障がある場合は外科的に切除します。

その他:粉瘤・尖圭コンジローマ

肛門周囲には、ほかにも以下のような疾患がみられることがあります。

粉瘤(ふんりゅう)

皮膚の下に角質や皮脂がたまってできる良性のしこり。肛門から少し離れた位置にできることが多いです。粉瘤は炎症を伴う場合、切開や摘出で治療します。

尖圭コンジローマ

ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって生じるウイルス性のいぼで、陰部や肛門周囲にカリフラワー状の突起ができます。
尖圭コンジローマはウイルス感染症のため、外科的除去や塗り薬による治療を行います。

腫瘍・できものの診断について

肛門周囲にできた「しこり」や「できもの」が何によるものかを、ご自身で正確に判断することは難しいものです。特に、原因が肛門の内部にある場合は、外から見ただけでは判断できず、医療機関での専門的な検査が必要となります。

肛門のまわりに痛み・かゆみ・腫れ・しこりの増大など気になる症状がある場合は、早めに肛門科を受診しましょう。

肛門科での診断と治療の流れ

肛門科では、まず肛門やその周囲の状態を視診・触診などで確認し、必要に応じて内視鏡検査や画像検査を行います。これにより、できものの性状(良性・悪性)や原因疾患を特定します。

診断結果に基づき、薬による保存的治療や日帰りで行える小手術(切除・排膿など)など、症状や病気の種類に応じた最適な治療を行います。
多くの場合、入院の必要がなく、体への負担を抑えた治療が可能です。

放置せず、早めの受診を

放置せず、早めの受診を

おしりや肛門にできたできもの・腫瘍を放置したり、市販薬で自己判断するのは避けましょう。

また「痛くないから」「恥ずかしいから」と受診を先延ばしにせず、気になる症状があるときは、早めに専門医へご相談ください。

症状が軽い段階で受診すれば、薬物療法中心で改善できるケースがほとんどです。早期の対応が、治療の短期化と再発防止につながります。
当院では、患者様が安心して診察を受けられるよう、プライバシーに配慮した診療環境を整えています。

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