出産後の便失禁

出産後の便失禁 FECAL_INCONTINENCE

出産後の便失禁について

出産後に便が漏れてしまう「便失禁」は、実は珍しいことではありません。分娩時に骨盤底の筋肉や神経に強い負担がかかることが主な原因で、特に自然分娩を経験された方にみられることがあります。
出産の際、骨盤底筋やその周囲の神経が伸ばされたり圧迫されたりすることで、一時的に排便をコントロールする力が弱まり、便失禁の症状が現れることがあります。

出産後の便失禁の主な原因

分娩による骨盤底筋への負担

出産時、赤ちゃんが産道を通る際に骨盤底筋には強い圧力がかかります。陣痛やいきみの影響で筋肉が過度に引き伸ばされ、筋力や弾力が低下してしまうことがあります。これにより、肛門を締める力が弱まり、便が漏れやすくなる場合があります。

神経への圧迫や損傷

分娩中、骨盤底を支える神経が圧迫を受けることがあります。この神経は排便をコントロールする働きを担っており、損傷を受けると便意の感覚が鈍くなったり、便を我慢しにくくなったりすることがあります。

骨盤底筋の弱体化

妊娠中はホルモンの影響や子宮の拡大により、骨盤底筋に長期間負担がかかります。出産後も筋肉の回復には時間がかかり、筋力が低下したままだと排便コントロールがうまくいかないことがあります。

出産後の便失禁は恥ずかしいことではなく、多くの女性が経験する可能性のある症状です。
適切なケアや骨盤底筋のトレーニングを行うことで、多くの方が改善・回復しています。気になる症状がある場合は、早めに肛門科にご相談ください。

出産後の便失禁の治療

出産後の便失禁は、原因や症状の程度に応じて治療方法が異なります。多くの場合、生活習慣の改善やリハビリで症状の軽減が期待できます。

骨盤底筋の強化運動

骨盤底筋のトレーニングは、出産後の便失禁改善に最も効果的な方法の一つです。肛門や膣を意識的に引き締める運動を繰り返すことで、筋肉の働きを回復させ、排便をコントロールする力を高めます。
医師や理学療法士の指導のもと、正しい姿勢と呼吸法で行うことが大切です。

薬物療法

便の硬さや排便リズムを整えることで、症状の軽減が期待できます。必要に応じて、整腸薬・下剤・止瀉薬(下痢止め)などが使用される場合があります。薬は自己判断で使用せず、医師の診察を受けて適切な処方を受けましょう。

外科的治療

重度の便失禁や、保存療法で十分な改善が得られない場合には、外科的治療が検討されます。手術には、損傷した骨盤底筋を修復する方法や、人工肛門括約筋を用いた治療などがあり、症状や体の状態に合わせて選択されます。

出産後の便失禁を予防するために

妊娠中からの骨盤底筋トレーニング

妊娠中から骨盤底筋を鍛えることで、出産による筋肉への負担を軽減し、産後の回復を早める効果が期待できます。無理のない範囲で、日常生活にエクササイズを取り入れましょう。

出産方法の検討

分娩方法によって骨盤底への負担は異なります。膣分娩と帝王切開のそれぞれの特徴やリスクを理解し、担当医とよく相談しながら最適な方法を選びましょう。

産後のケア

出産後は、安静を保ちながら骨盤底の回復を促すことが重要です。医師の指導のもとで骨盤底筋トレーニングを再開し、便秘を防ぐために水分・食物繊維をしっかり摂るようにしましょう。

出産後の便失禁は、一時的な症状であることが多く、適切なケアを行うことで回復が期待できます。
「恥ずかしいから」と我慢せず、早めに医師へ相談することで、心身ともに健やかな産後生活を取り戻すことができます。

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