おしりが「キューッ」と痛むときに考えられる原因と対処法 BUTT-HURTS
おしりが「キューッ」と痛むときに考えられる原因と対処法
排便時や安静時に、肛門周囲で「キューッ」と締めつけられるような痛みを感じる場合、いぼ痔(痔核)・突発性直腸肛門痛・肛門挙筋症候群などが関係していることがあります。いぼ痔は、排便時の強いいきみや長時間の座位によって、肛門の血流が滞ることで発症します。突発性直腸肛門痛は、神経の一時的な刺激や炎症が原因とされ、突然鋭い痛みが起こるのが特徴です。
また、肛門挙筋症候群は、骨盤底筋が過度に緊張し、持続的に痛みが出る状態を指します。
いずれも命に関わる病気ではありませんが、痛みが繰り返すと生活の質に大きく影響します。症状が続く、または強い痛みが出る場合は、肛門科で原因をしっかり確認し、適切な治療を受けることが大切です。
月経・排卵のタイミングで痛みが出る場合
月経周期に合わせて「おしりの奥がキューっと痛む」ような症状がある場合、子宮内膜症の可能性が考えられます。
この疾患は、子宮以外の場所に子宮内膜ができてしまうことで、排卵時や生理時に強い痛みが出やすくなるのが特徴です。
放置すると、不妊につながったり、年齢とともに症状が悪化することもあります。
月経痛や排卵痛が強い、経血量が多い、下腹部の痛みや性交時の痛みがある場合は、早めに産婦人科での受診・相談をおすすめします。
キューッとした痛みを感じるときに考えられる主な病気
いぼ痔(痔核)
排便のたびにキューッとした痛みを感じ、便秘や下痢、出血を伴う場合は、いぼ痔や切れ痔が関係している可能性があります。
便秘や下痢を繰り返すと肛門への負担が増し、痔が悪化しやすくなります。
市販薬で一時的に痛みを和らげることもできますが、症状を繰り返す場合は肛門科での診察が必要です。
壊死性筋膜炎
おしりの痛みに加え、腫れや赤み、皮膚が黒っぽく変色している場合は、壊死性筋膜炎の可能性があります。
この病気は、肛門やおしり周囲の皮下組織に感染が広がる重篤な病態で、進行すると高熱や全身の倦怠感、筋肉痛を伴うこともあります。糖尿病など基礎疾患のある方は特に注意が必要で、早期の治療が不可欠です。
子宮内膜症(女性の場合)
子宮内膜症は、子宮以外の場所に子宮内膜が発生する病気で、20〜30代の女性に多くみられます。月経のたびに子宮内膜が増殖・剥離を繰り返すため、下腹部や骨盤周囲、肛門にかけて痛みを感じることがあります。
また、慢性の腰痛や性交痛、排便痛などを伴うこともあります。
治療は、鎮痛薬や低用量ピルを用いたホルモン療法、または症状の程度に応じて手術療法を行います。
月経痛が強い、経血量が多いといった症状が続く方は、早めに産婦人科を受診しましょう。
突発性肛門痛(肛門挙筋症候群)
突発性肛門痛は、排便とは関係なく突然強い痛みが起こる病気で、「肛門疝痛」「肛門挙筋症候群」とも呼ばれます。
原因は、肛門を支える恥骨直腸筋などの筋肉の痙攣と考えられています。
検査をしても異常が見つからないことが多く、ストレスや冷え、姿勢の影響なども関係しているといわれます。
ストレッチや入浴で筋肉を温めると症状が和らぐことがありますが、痛みが頻発する場合は他の疾患が隠れている可能性もあるため、肛門科での診察をおすすめします。
おしりの痛みを防ぐための日常ケア
骨盤まわりの筋肉(骨盤底筋)がこわばることで痛みが起こるケースもあります。
長時間同じ姿勢で座る生活や運動不足が原因となることが多く、こまめに体を動かしたり、軽いストレッチを取り入れることが効果的です。
また、便秘や下痢を繰り返すと肛門に負担がかかり、痔を引き起こしやすくなるため、バランスの取れた食事や十分な水分摂取で腸内環境を整えましょう。
市販薬を使用する場合の注意点
薬局やドラッグストアで購入できる市販薬は、軽度の痛みを一時的に和らげるのに役立つことがあります。
特にいぼ痔による痛みには、市販の痔用薬で症状が軽減することもあります。
ただし、痛みを何度も繰り返す場合や長期間続く場合には、自己判断せずに医療機関で原因を確認することが大切です。
また、妊娠中や授乳中の方は、薬の安全性に注意が必要なため、服用前に医師または薬剤師へ相談するようにしましょう。