おしりから急に出血・血便があったときの原因と受診の目安 BLEEDING
おしりから出血があったら
朝の排便時に、突然おしりから血が出たり便に血が混じっているのを見つけると、驚きや不安を感じる方も多いと思います。
ここでは、血便や下血が起こる主な原因と、受診のタイミングについてご説明します。
おしりからの出血があった場合は、まず肛門科や消化器内科を受診しましょう。
出血の原因はさまざまで、自己判断では見分けがつきにくいため、専門医による診察や内視鏡検査で原因を確認し、適切な治療を受けることが大切です。
血便・下血の主な原因
血便や下血がみられるときは、口から肛門までの消化管のどこかで出血が起こっているというサインです。
出血の部位は、便の色や性状からある程度推測できます。慌てずに便の色・量・性状を確認し、診察時に医師へ伝えるようにしましょう。
また、発熱・腹痛・下痢・嘔吐などの全身症状がある場合も、併せて伝えることが重要です。
黒っぽい便(タール便)は上部消化管からの出血
便が黒く、タールのような色をしている場合は、食道・胃・十二指腸など上部消化管からの出血が疑われます。
これは緊急性の高い状態であることも多く、胃カメラ検査で出血の部位や粘膜の状態を確認する必要があります。
放置すると貧血やショックに至ることもあるため、早めの受診が重要です。
鮮やかな赤い血便は大腸や肛門からの出血
便に鮮やかな赤い血が混じる場合は、大腸や肛門の疾患が原因であることが多いです。
大腸ポリープや大腸がん、潰瘍性大腸炎、クローン病などの腸の病気、または切れ痔・いぼ痔などの肛門疾患が考えられます。
大腸ポリープや初期の大腸がんは症状が出にくいため、出血をきっかけに発見されることも少なくありません。
大腸カメラ検査では、ポリープが見つかった際にその場で切除できる場合もあり、大腸がん予防に直結します。
40歳を過ぎると大腸がんのリスクが上昇するため、症状がなくても定期的な大腸内視鏡検査を受けておくと安心です。
細菌やウイルス感染による血便
細菌やウイルスが原因で腸に炎症が起こると、感染性腸炎を発症し、血便のほかに発熱・腹痛・下痢・嘔吐などを伴うことがあります。
カンピロバクター、サルモネラ、O-157などの細菌性腸炎や、ノロウイルス感染では激しい症状を呈することがあります。
特に乳幼児や高齢の方では、脱水や体力低下から重症化することもあるため、血便に加えて全身症状がみられる場合は早急に医療機関を受診してください。
血便・下血の症状チェック
血便が見られたときは、出血の量・色・痛みの有無などを観察することで、ある程度の原因を推測できます。慌てずに次のポイントを確認してみましょう。
出血の量を確認する
便に少しだけ血が混じる場合は、肛門の近くからの出血が考えられます。
一方で、便器の水が赤く染まるほどの出血や、何度も血便を繰り返す場合は、大腸など消化管の疾患が関係している可能性があります。
血便が出た際は、出血量や頻度を把握しておくことが大切です。
血の色を観察する
血便の色から、出血している場所のおおよその見当をつけることができます。
黒っぽい便(タール便)
食道・胃・十二指腸など、上部消化管で出血している可能性があります。
鮮やかな赤い血
大腸や肛門など、下部消化管での出血が疑われます。
色だけで病気を確定することはできませんが、黒色便であれば胃カメラ検査、赤い血便であれば大腸カメラ検査を行うなど、便の状態を参考に適切な検査を進めることができます。
痛みの部位を確認する
血便が出たときにおしりの周囲に痛みがある場合は、切れ痔やいぼ痔などの肛門疾患が多くみられます。
一方で、腹痛を伴う場合は、胃潰瘍や感染性腸炎など、より上部の消化管で炎症が起きている可能性があります。
出血だけでなく、痛みや発熱・下痢などの症状も一緒に記録しておくと、診察時に役立ちます。
血便が出たときの受診タイミング
急な出血で驚く方も多いと思いますが、痛みが強い・出血量が多い・便が黒いなどの症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
少量の出血であっても、翌日には一度診察を受けることをおすすめします。
出血があるときは、脂っこい食事や刺激の強い食べ物を控え、水分を十分に摂るようにしましょう。
血便は、痔のほかにも大腸ポリープや大腸がんなどの疾患が隠れている場合があります。
消化器内科や肛門科を受診し、必要に応じて内視鏡検査を行うことが大切です。
当院では、どちらの診療にも対応しており、血便の状態に合わせて肛門診察・胃カメラ・大腸カメラなどを行い、原因を詳しく調べることが可能です。